健康診断でコレステロールが高いと言われたら放置してはいけない?

健康診断とコレステロール

健康診断の結果で「コレステロールが高いですね」「脂質異常症の可能性があります」と指摘され、不安になったことはありませんか。一方で、「体調も悪くないし、薬を飲むほどではないだろう」と、そのままにしてしまう方も少なくありません。

しかし、コレステロール値の異常は、自覚症状がほとんどないまま進行する脂質異常症のサインである可能性があります。脂質異常症そのものでは痛みや苦しさを感じることはほとんどありませんが、長期間放置すると血管の内側にコレステロールがたまり、動脈硬化が進行することで、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気のリスクを高めることが知られています。

実際に、健康診断で「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」が高いと指摘されても、自覚症状がないため受診せず経過を見てしまうケースは少なくありません。しかし、動脈硬化は数年から数十年かけて少しずつ進行する病気です。症状が現れたときには、すでに血管が狭くなっていたり、心筋梗塞や脳卒中を発症していたりすることもあります。

一方で、健康診断で一度コレステロールが高かったからといって、すぐに薬による治療が必要になるわけではありません。年齢や血圧、糖尿病の有無、喫煙習慣、ご家族の病歴などを総合的に評価し、一人ひとりに適した治療方針を決定します。生活習慣の改善だけで数値が改善する方も少なくありません。

大切なのは、「数値が少し高いだけだから大丈夫」と自己判断しないことです。健康診断は病気を見つけることが目的ではなく、将来の病気を予防するためのきっかけです。コレステロール値の異常を指摘された場合は、その原因や将来のリスクを正しく理解し、必要に応じて医療機関へ相談することが重要です。

この記事では、コレステロールの役割やLDL・HDL・中性脂肪の違い、数値が高くなる原因、放置するリスク、改善方法、受診の目安について、循環器内科の視点から分かりやすく解説します。

コレステロールとは?LDL・HDL・中性脂肪の違い

健康診断の結果には、「LDLコレステロール」「HDLコレステロール」「中性脂肪(トリグリセリド)」といった項目が並んでいます。しかし、「悪玉コレステロールが高いと言われたけれど、そもそもコレステロールって何?」「善玉なら高い方がいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸などをつくるために欠かせない脂質の一種です。つまり、コレステロールそのものが悪いわけではなく、体内でのバランスが崩れることが問題となります。

LDLコレステロール(悪玉)

肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割があります。増え過ぎると血管の壁に蓄積し、動脈硬化を進行させる原因になります。

HDLコレステロール(善玉)

余分なコレステロールを回収し、肝臓へ戻す役割があります。血管を守る働きがあるため、低すぎる場合は動脈硬化のリスクが高まります。

中性脂肪(トリグリセリド)

体を動かすエネルギー源として利用されます。しかし、多過ぎると肥満や脂肪肝だけでなく、動脈硬化や糖尿病のリスクにもつながります。

健康診断では、一般的にLDLコレステロール140mg/dL以上HDLコレステロール40mg/dL未満空腹時中性脂肪150mg/dL以上が脂質異常症の目安とされています。ただし、これらの数値だけで治療が決まるわけではありません。

例えば、高血圧や糖尿病がある方、喫煙習慣がある方、心筋梗塞や脳卒中になったご家族がいる方では、動脈硬化のリスクが高くなるため、より慎重な管理が必要になります。逆に、数値が少し高いだけで他に危険因子が少ない場合は、まず生活習慣の改善から始めることもあります。

大切なのは、「悪玉コレステロールだけを見る」のではなく、HDLコレステロールや中性脂肪、血圧や血糖値なども含めて総合的に評価することです。循環器内科では、健康診断の結果をもとに将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクまで考えながら、一人ひとりに合った治療方針を提案しています。

コレステロールが高くなる原因

コレステロールの高い食事

コレステロール値は、「脂っこいものを食べ過ぎたから上がる」というイメージを持たれがちですが、実際には食事だけが原因ではありません。体質や加齢、運動不足、喫煙、ほかの病気など、さまざまな要因が重なり合ってコレステロール値は変化します。

そのため、「食生活には気を付けているのに数値が高い」「痩せているのにコレステロールが高い」といったケースも珍しくありません。健康診断で異常を指摘された場合は、生活習慣だけでなく、ご自身の体質や病気の有無も含めて考えることが大切です。

コレステロール値が高くなる主な原因には、次のようなものがあります。

食生活の乱れ
脂質や糖質の多い食事、食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎは、LDLコレステロールや中性脂肪の上昇につながります。外食や加工食品が多い方は、知らないうちに脂質やカロリーを摂り過ぎていることもあります。
運動不足
運動量が少ないと、善玉であるHDLコレステロールが減少しやすくなります。また、消費エネルギーが減ることで中性脂肪も増えやすくなり、動脈硬化のリスクが高まります。
肥満・メタボリックシンドローム
内臓脂肪が増えると脂質代謝が乱れ、LDLコレステロールや中性脂肪が増えやすくなります。高血圧や糖尿病を伴う場合は、心筋梗塞や脳梗塞の危険性もさらに高まります。
遺伝や体質
家族性高コレステロール血症(FH)のように、遺伝的な要因で若い頃からLDLコレステロールが高くなる病気もあります。ご家族に心筋梗塞や高コレステロール血症の方がいる場合は、一度相談することをおすすめします。
加齢や生活習慣病
年齢を重ねるにつれて脂質代謝は変化しやすくなります。また、糖尿病や慢性腎臓病、甲状腺機能低下症などの病気が原因でコレステロール値が高くなることもあります。

このように、コレステロール値の上昇には複数の要因が関係しています。そのため、「食事だけ改善すればよい」「薬だけ飲めばよい」というものではありません。生活習慣や持病、ご家族の病歴なども踏まえながら、総合的に改善していくことが重要です。

特に、高血圧や糖尿病、喫煙習慣がある方は、それぞれが動脈硬化を進行させる危険因子になります。コレステロールだけを見るのではなく、健康診断全体の結果を踏まえてリスクを評価することが、将来の心筋梗塞や脳卒中の予防につながります。

コレステロールが高いとどんな病気のリスクがある?

コレステロール値が高い状態を放置すると、最も心配されるのが動脈硬化です。動脈硬化とは、血管の内側にコレステロールなどが少しずつ蓄積し、血管が硬く狭くなっていく状態をいいます。初期にはほとんど自覚症状がありませんが、長い年月をかけて進行し、ある日突然、重大な病気を引き起こすことがあります。

特にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールが沈着し、「プラーク」と呼ばれる塊が形成されます。このプラークが大きくなると血流が悪くなり、さらに破裂すると血栓(血のかたまり)ができて血管が詰まり、心筋梗塞や脳梗塞を発症する原因になります。

LDLコレステロールが高い状態

血管にコレステロールが蓄積(プラーク形成)

動脈硬化が進行

血管が詰まりやすくなる

心筋梗塞・狭心症・脳梗塞などの発症リスクが高まる

さらに、高血圧や糖尿病、喫煙、肥満などの危険因子が重なると、動脈硬化はより速いスピードで進行します。例えば、高血圧によって血管の内側に負担がかかると、その傷ついた部分にコレステロールが蓄積しやすくなります。そのため、脂質異常症だけでなく、生活習慣病全体を管理することが重要です。

動脈硬化は一度進行すると完全に元の状態へ戻すことは難しいとされています。しかし、コレステロール値を適切に管理し、生活習慣を改善することで進行を抑え、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクを減らすことが期待できます。

健康診断でコレステロール値の異常を指摘された場合は、「症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、将来の血管を守るためのサインと捉えることが大切です。早い段階から適切な対策を始めることが、健康寿命を延ばすことにもつながります。

コレステロールを改善するために今日からできること

健康的な食事

コレステロール値が高いと言われても、すぐに薬による治療が必要になるとは限りません。特に動脈硬化のリスクが比較的低い方では、まず生活習慣を見直すことで改善を目指します。毎日の小さな積み重ねが、将来の心筋梗塞や脳卒中の予防につながります。

今日から実践したいポイントは次のとおりです。

・肉の脂身や揚げ物を控え、魚や大豆製品を積極的に取り入れる
・野菜や海藻、きのこ類など食物繊維を十分に摂る
・ウォーキングなどの有酸素運動を週3〜5日程度続ける
・適正体重を維持し、内臓脂肪を減らす
・禁煙し、アルコールは飲み過ぎないようにする
・十分な睡眠を確保し、ストレスをため込まない

特に食事では、「コレステロールを減らす食品」を意識するよりも、バランスの良い食事を継続することが重要です。青魚に含まれるEPA・DHAや、大豆製品、野菜、果物などを取り入れながら、脂質や糖質の摂り過ぎを防ぐことで、脂質異常症の改善が期待できます。

また、運動にはLDLコレステロールを減らすだけでなく、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やす効果も期待できます。激しい運動を行う必要はなく、ウォーキングや軽いジョギング、自転車、水泳など、無理なく続けられる運動を習慣化することが大切です。

生活習慣を改善してもコレステロール値が十分に下がらない場合や、糖尿病・高血圧・慢性腎臓病などを合併している場合は、薬による治療が必要になることがあります。薬はコレステロール値だけで判断するのではなく、年齢や動脈硬化のリスクを総合的に評価したうえで処方されます。

「薬を飲み始めたら一生やめられないのでは」と心配される方もいますが、自己判断で服薬を中止することは危険です。生活習慣の改善とあわせて適切な治療を継続することで、将来の心血管疾患を予防できる可能性が高まります。健康診断でコレステロール値を指摘された方は、一人で悩まず、まずは医療機関へ相談してみましょう。

どんな人が受診すべき?

健康診断でコレステロール値が高いと指摘されても、「少し高いだけだから」「症状がないから大丈夫」と考えてしまう方は少なくありません。しかし、脂質異常症は自覚症状がほとんどないまま動脈硬化を進行させるため、気付いたときには心筋梗塞や脳梗塞を発症しているケースもあります。

特に次のような方は、一度内科・循環器内科で相談することをおすすめします。

・健康診断で「要受診」「要精密検査」と判定された
・LDLコレステロールが140mg/dL以上と指摘された
・高血圧や糖尿病、慢性腎臓病を治療中である
・喫煙習慣がある、または肥満を指摘されている
・ご家族に心筋梗塞や脳梗塞、脂質異常症の方がいる
・生活習慣を改善してもコレステロール値が改善しない

また、一度だけ数値が高かった場合でも、経年的な変化を確認することが重要です。毎年少しずつLDLコレステロールが上昇している方や、HDLコレステロールが低下している方は、動脈硬化のリスクが高まっている可能性があります。健康診断の結果は毎年保管し、数値の変化を確認するようにしましょう。

循環器内科では、コレステロール値だけを見るのではなく、血圧や血糖値、腎機能、喫煙歴、家族歴などを含めて将来の心血管疾患リスクを総合的に評価します。そのうえで、生活習慣の改善だけでよいのか、薬による治療が必要なのかを一人ひとりに合わせて判断します。

「症状がないから受診しなくても大丈夫」ではなく、「症状がない今だからこそ予防を始める」という考え方が大切です。健康診断は将来の病気を防ぐための大切な機会です。コレステロール値の異常を指摘された場合は、自己判断で放置せず、早めに医療機関へ相談しましょう。


まとめ

健康診断でコレステロール値が高いと指摘されても、すぐに重大な病気があるとは限りません。しかし、脂質異常症を放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。

コレステロール値は、食生活や運動習慣の改善によって改善が期待できる場合も多くあります。一方で、高血圧や糖尿病などの危険因子を伴う場合は、薬による治療が必要になることもあります。健康診断の結果をきっかけに、ご自身の生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関で相談することが大切です。

健康診断でコレステロールが高いと言われたら、次のことを意識しましょう。

・健康診断の結果を自己判断で放置しない
・食生活や運動習慣を見直す
・高血圧や糖尿病など生活習慣病もあわせて管理する
・必要に応じて循環器内科で詳しい検査や治療を受ける

名古屋市天白区の平針団地診療所では、脂質異常症をはじめ、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、動脈硬化による心筋梗塞・脳卒中の予防にも力を入れています。健康診断でコレステロール値の異常を指摘された方や、生活習慣病について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

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