熱中症と高血圧の関係|暑い日の正しい水分補給とは
目次
熱中症と高血圧にはどんな関係がある?

夏になると、「暑くて血圧が低くなった気がする」「高血圧でも熱中症に気をつけた方がいいの?」といった疑問を持つ方が増えます。実際に、気温が高くなる夏は血圧が冬より低くなる傾向がありますが、その一方で脱水や熱中症による体への負担が大きくなる季節でもあります。
特に高血圧で治療を受けている方は、暑さによる発汗や水分不足に加え、服用している降圧薬の影響によって体内の水分バランスが崩れやすくなることがあります。その結果、めまいや立ちくらみ、脱水症状を起こしやすくなり、重症化すると熱中症につながる可能性があります。
また、「高血圧だから水分を控えた方がいい」「塩分は絶対に摂ってはいけない」と自己判断してしまう方も少なくありません。しかし、暑い時期は普段とは異なる体の変化が起こるため、誤った対策はかえって体調を悪化させる原因になることがあります。
高血圧の方にとって大切なのは、血圧を適切にコントロールしながら、熱中症を予防するための正しい水分補給や生活習慣を身につけることです。特に高齢の方は暑さや喉の渇きを感じにくくなるため、自覚がないまま脱水が進行してしまうこともあります。
この記事では、熱中症と高血圧の関係、高血圧の方が夏に注意したいポイント、正しい水分補給の方法、降圧薬を服用している方が気をつけることについて、循環器内科の視点からわかりやすく解説します。
高血圧の人は熱中症になりやすい?
高血圧そのものが直接熱中症を引き起こすわけではありません。しかし、高血圧の方は年齢や持病、服用している薬などの影響が重なることで、熱中症のリスクが高くなる場合があります。特に65歳以上の方や、高血圧に加えて糖尿病や慢性腎臓病を抱えている方は注意が必要です。
夏は気温の上昇とともに大量の汗をかきます。汗と一緒に体内の水分や電解質(ナトリウムなど)が失われると、体内の水分量が減少し、脱水状態になります。脱水が進むと血液は濃くなり、心臓は全身へ血液を送り出すために通常より大きな負担を受けることになります。
降圧薬を服用している方は特に注意しましょう。
高血圧の治療では、利尿薬やARB、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬などが使用されます。このうち利尿薬は尿の量を増やすことで血圧を下げる薬ですが、夏場は発汗も重なるため、水分不足になりやすい場合があります。
もちろん、「薬を飲んでいるから危険」ということではありません。自己判断で薬を中止すると、かえって血圧が上昇し、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。気になる症状がある場合は、自己判断せず、処方を受けている医師へ相談することが大切です。
こんな症状があれば、脱水や熱中症のサインかもしれません。
暑い日に次のような症状がある場合は、脱水や熱中症の初期症状の可能性があります。
・立ちくらみやめまいがする
・強い喉の渇きを感じる
・体がだるく力が入らない
・頭痛や吐き気がある
・尿の量が減ったり、色が濃くなったりしている
これらの症状を軽く考えてしまうと、重症の熱中症へ進行することがあります。高血圧の方は日頃から血圧だけでなく、体調や水分摂取量にも目を向け、暑い季節を無理なく過ごすことが大切です。
暑い日に気をつけたい水分補給のポイント

熱中症を予防するうえで欠かせないのが、こまめな水分補給です。しかし、「喉が渇いたら飲めばいい」と思っている方は少なくありません。実際には、喉の渇きを感じた時点で、すでに体内では軽い脱水が始まっていることがあります。
特に高齢の方は加齢によって喉の渇きを感じにくくなるため、気付かないうちに水分不足になってしまうケースもあります。高血圧で治療中の方はもちろん、ご家族も意識して水分補給を心がけることが大切です。
水分補給は、一度に大量に飲むよりも、少量ずつこまめに飲むことがポイントです。起床後や外出前、入浴前後、就寝前など、生活の中でタイミングを決めて飲む習慣をつけると、水分不足を防ぎやすくなります。
また、「何を飲むか」も重要です。日常生活であれば、水や麦茶など糖分を含まない飲み物が基本になります。一方で、屋外で長時間過ごしたときや大量に汗をかいた場合は、水分だけでなく塩分も失われているため、経口補水液やスポーツドリンクが役立つことがあります。ただし、スポーツドリンクには糖分が多く含まれている製品もあるため、飲み過ぎには注意が必要です。
反対に、アルコールやカフェインを多く含む飲み物は利尿作用があるため、水分補給の代わりにはなりません。特に暑い日にビールだけで水分補給を済ませると、かえって脱水が進んでしまうことがあります。
「高血圧だから塩分は一切摂ってはいけない」と考える方もいますが、熱中症対策では状況に応じた対応が必要です。普段は減塩を意識しつつも、大量の汗をかいた場合には適度な塩分補給も重要になります。自己判断が難しい場合は、持病や服用している薬も考慮しながら、医師に相談すると安心です。
暑い夏を元気に過ごすためには、「喉が渇く前に飲む」「こまめに補給する」「状況に応じて飲み物を選ぶ」という3つを意識することが、熱中症予防への第一歩になります。
高血圧の薬を飲んでいる人が注意すべきこと
高血圧で治療を受けている方の中には、「夏は血圧が下がるなら薬を減らしてもいいのでは?」と考える方もいます。しかし、自己判断で薬を中止したり量を変更したりすることは避けましょう。血圧は季節によって変動することがありますが、その変化には個人差があり、急に薬をやめることで血圧が大きく上昇する危険性があります。
特に夏場は、汗をかくことで体内の水分が失われやすくなります。高血圧の薬の中には、尿として余分な水分を排出する利尿薬が使われることもあり、発汗が重なることで脱水を起こしやすくなる場合があります。
もちろん、「薬を飲んでいるから危険」というわけではありません。多くの方は問題なく治療を続けられますが、夏は体調の変化にも目を向けることが大切です。
次のような症状が続く場合は、脱水や血圧の下がり過ぎが影響している可能性があります。一度主治医へ相談しましょう。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 立ちくらみ・めまい | 脱水や血圧が下がり過ぎている可能性 |
| 強いだるさ・疲労感 | 熱中症や水分不足 |
| ふらついて歩きにくい | 脱水や血圧低下 |
| 尿の量が少ない・色が濃い | 体内の水分不足 |
このような症状があっても、自己判断で薬を中止することはおすすめできません。家庭で測定した血圧の記録や体調の変化を主治医へ伝えることで、その時期に合った薬の種類や服用量を検討してもらえる場合があります。
暑い季節は、血圧だけでなく体調や水分バランスも変化しやすい時期です。普段と違う症状を感じたときは無理をせず、医療機関へ相談しながら安全に夏を乗り切りましょう。
熱中症を予防する生活習慣

熱中症は、日頃の生活習慣を少し意識するだけでも予防できる可能性があります。高血圧の方は血圧管理だけでなく、暑さから体を守る工夫を取り入れることも大切です。
特に夏場は、「喉が渇いたら水を飲む」だけでは十分ではありません。喉の渇きを感じる頃には、すでに軽い脱水が始まっていることもあるため、こまめな水分補給を習慣にしましょう。
熱中症を予防するために、次のようなことを意識しましょう。
・喉が渇く前にこまめに水分を補給する
・外出時は帽子や日傘を活用し、直射日光を避ける
・エアコンや扇風機を適切に使用し、室温を快適に保つ
・無理な運動や長時間の屋外活動は暑い時間帯を避ける
・十分な睡眠とバランスの良い食事を心がける
また、室内にいる場合でも熱中症は起こります。特に高齢の方は暑さを感じにくく、エアコンの使用を控えてしまうことで室温が上がり、気付かないうちに熱中症になるケースも少なくありません。
さらに、高血圧の方は日頃から家庭で血圧を測定しておくことも大切です。夏場は血圧が普段より低くなることもあれば、脱水などの影響で体調を崩すこともあります。血圧と体調をあわせて記録しておくことで、異変に早く気付くことができます。
暑い日が続く時期は、「無理をしないこと」も熱中症予防の一つです。体調が優れない日は外出や運動を控え、涼しい場所で十分な休息を取るようにしましょう。
どんな症状があれば受診すべき?
熱中症は早めに対処することで重症化を防げる病気です。しかし、「少し疲れているだけ」「夏バテだろう」と自己判断してしまい、受診が遅れるケースも少なくありません。高血圧の方は持病や服用中の薬の影響もあるため、体調の変化には特に注意が必要です。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
・めまいや立ちくらみが繰り返し起こる
・頭痛や吐き気が続いている
・体のだるさが改善しない
・水分を摂っても症状が良くならない
・家庭で測った血圧が普段と大きく違う状態が続く
また、次のような症状がみられる場合は、熱中症が重症化している可能性があります。ためらわずに救急受診を検討してください。
・意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が悪い
・自分で水分を飲めない
・けいれんを起こしている
・まっすぐ歩けない、立っていられない
・高い体温が続き、ぐったりしている
高血圧の方は、熱中症による脱水がきっかけとなって血圧が大きく変動したり、心臓や腎臓へ負担がかかったりすることがあります。普段と違う症状があるときは無理をせず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
特に高齢の方は症状がはっきり現れないこともあります。ご本人だけでなく、ご家族も日頃から体調や水分摂取の様子に気を配り、異変を感じた際は早めの受診につなげましょう。
まとめ
熱中症は誰にでも起こりうる身近な病気ですが、高血圧の方は年齢や持病、服用している薬などの影響によって、より注意が必要になる場合があります。特に夏場は発汗によって体内の水分や塩分が失われやすく、脱水から体調を崩してしまうことも少なくありません。
熱中症を予防するためには、日頃から次のようなことを心がけましょう。
・喉が渇く前に、こまめに水分を補給する
・エアコンや扇風機を活用し、暑さを我慢しない
・十分な睡眠とバランスの良い食事を心がける
・家庭で血圧を測定し、体調の変化にも気を配る
・降圧薬は自己判断で中止・変更せず、気になる症状があれば医師へ相談する
暑い季節を健康に過ごすためには、高血圧の治療を続けながら、熱中症対策もあわせて行うことが大切です。日々の小さな心がけが、熱中症だけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの重大な病気の予防にもつながります。
「少し体調がおかしい」「いつもと違う」と感じたときは無理をせず、早めに医療機関へ相談しましょう。
高血圧や熱中症が気になる方へ
高血圧は自覚症状が少ないまま進行することが多く、熱中症や脱水が重なることで体に大きな負担がかかる場合があります。健康診断で血圧が高いと指摘された方や、夏場の体調管理に不安がある方は、お早めにご相談ください。
名古屋市天白区の平針団地診療所では、高血圧をはじめとした生活習慣病や循環器疾患の診療を行っています。患者さん一人ひとりの状態に合わせた治療や生活習慣の改善をサポートいたします。
