健康診断で血糖値が高いと言われたら放置してはいけない?

血糖値

健康診断の結果で「血糖値が高いですね」「再検査を受けてください」と言われ、不安になったことはありませんか。「甘いものはそんなに食べないから大丈夫」「体調も悪くないし、様子を見よう」と、そのままにしてしまう方も少なくありません。

しかし、血糖値の異常は糖尿病や糖尿病予備群のサインである可能性があります。糖尿病は初期にはほとんど自覚症状がないため、健康診断で初めて異常に気付く方も多い病気です。一方で、症状がないからと放置してしまうと、気付かないうちに血管へのダメージが進行し、将来的に心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎臓病などの重大な病気につながるリスクが高まります。

厚生労働省の調査では、「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると約2,000万人にのぼると推計されており、決して珍しい病気ではありません。そのため、健康診断で血糖値が高いと指摘された場合は、「今は症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、将来の健康を守るための大切なサインとして受け止めることが重要です。

もちろん、一度血糖値が高かったからといって、すぐに糖尿病と診断されるわけではありません。食事のタイミングや体調などによって一時的に高くなることもあります。そのため、空腹時血糖値やHbA1cなどの検査結果を総合的に評価し、本当に治療が必要かどうかを判断します。

健康診断は病気を見つけることが目的ではなく、病気を早期に発見し、重症化を防ぐための大切な機会です。血糖値の異常を指摘された場合は、その原因やリスクを正しく理解し、必要に応じて医療機関を受診することが将来の健康につながります。

この記事では、健康診断で血糖値が高いと言われたときに考えられる原因や、空腹時血糖値とHbA1cの違い、放置するリスク、改善方法、受診の目安について、循環器内科の視点から分かりやすく解説します。

血糖値とは?空腹時血糖・HbA1cの違い

健康診断の結果には、「空腹時血糖」や「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」といった項目が記載されています。どちらも血糖の状態を調べるための重要な検査ですが、それぞれ意味が異なります。そのため、「血糖値は正常だけどHbA1cが高い」「HbA1cは正常なのに血糖値が高い」といった結果になることもあります。

正しく健康状態を判断するためには、それぞれの検査が何を表しているのかを知っておくことが大切です。

空腹時血糖

採血したその時点の血糖値を示します。一般的には10時間程度食事をとらない状態で測定し、現在の血糖値が高いかどうかを確認します。

目安
・99mg/dL以下:正常
・100〜125mg/dL:境界域
・126mg/dL以上:糖尿病が疑われる

HbA1c

過去1〜2か月間の平均的な血糖状態を示す指標です。一時的な血糖値の変化に影響されにくいため、糖尿病の診断や治療効果の確認にも広く用いられています。

目安
・5.5%以下:正常範囲
・5.6〜6.4%:糖尿病予備群の可能性
・6.5%以上:糖尿病が疑われる

例えば、健康診断前日に食べ過ぎたり、強いストレスや睡眠不足があったりすると、一時的に血糖値が高くなることがあります。一方で、HbA1cが高い場合は、日常的に血糖値が高い状態が続いている可能性が考えられます。そのため、医療機関では空腹時血糖だけでなく、HbA1cや症状、既往歴などを総合的に評価して診断を行います。

健康診断でどちらか一方だけ異常を指摘された場合でも、自己判断は禁物です。空腹時血糖とHbA1cをあわせて確認することで、現在の状態だけでなく、将来的な糖尿病のリスクも把握しやすくなります。気になる結果が出た場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

血糖値が高くなる原因

血糖値が高くなる原因として、「甘いものの食べ過ぎ」を思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、実際には食生活だけが原因ではありません。運動不足や肥満、加齢、遺伝的な体質、ストレスなど、さまざまな要因が重なって血糖値は上昇します。

また、血糖値を下げる働きを持つインスリンというホルモンが十分に分泌されなかったり、インスリンがうまく働かなくなったりすることも、血糖値が高くなる大きな原因です。これらの状態が続くと、糖尿病へ進行する可能性があります。

血糖値が高くなる主な原因には、次のようなものがあります。

食生活の乱れ
ご飯やパン、麺類などの炭水化物や甘い飲み物、お菓子の摂り過ぎは、血糖値が上がりやすくなる原因です。食べ過ぎや夜遅い時間の食事も血糖コントロールに影響します。
運動不足
筋肉は血液中のブドウ糖を消費する重要な役割があります。運動不足になるとブドウ糖が消費されにくくなり、血糖値が高くなりやすくなります。
肥満(特に内臓脂肪型肥満)
内臓脂肪が増えると、インスリンの働きが低下する「インスリン抵抗性」が起こりやすくなります。その結果、血糖値が下がりにくくなり、糖尿病のリスクが高まります。
加齢や遺伝的な体質
年齢とともにインスリンを分泌する力は徐々に低下します。また、ご家族に糖尿病の方がいる場合は、糖尿病になりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。
ストレス・睡眠不足
慢性的なストレスや睡眠不足は、血糖値を上げるホルモンの分泌を促し、血糖コントロールを乱す原因になります。仕事が忙しい方や睡眠時間が短い方は注意が必要です。

このように、血糖値が高くなる背景には一つの原因だけでなく、複数の生活習慣や体質が関係していることがほとんどです。そのため、「甘いものをやめれば大丈夫」という単純なものではありません。食事・運動・体重管理・睡眠などを総合的に見直すことが、血糖値の改善につながります。

また、高血圧や脂質異常症を合併している場合は、動脈硬化がさらに進みやすくなります。健康診断で血糖値が高いと指摘された方は、血糖値だけでなく血圧やコレステロールなどもあわせて管理することが、将来の心筋梗塞や脳卒中の予防につながります。

血糖値が高いとどんな病気のリスクがある?

血糖値と糖尿病

血糖値が高い状態が続くと、血液中のブドウ糖が血管を少しずつ傷つけ、全身の動脈硬化を進行させます。初期には自覚症状がほとんどありませんが、長期間放置すると心臓や脳、腎臓、目、神経など全身にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。

特に糖尿病は、高血圧や脂質異常症と並ぶ動脈硬化の大きな危険因子です。これらが重なることで、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクはさらに高くなることが知られています。

影響を受ける部位 起こりやすい病気 主な影響
心臓 心筋梗塞・狭心症 冠動脈が狭くなり、胸痛や心筋梗塞を引き起こすことがあります。
脳梗塞 脳の血管が詰まり、麻痺や言語障害などの後遺症につながることがあります。
腎臓 糖尿病性腎症 腎機能が低下し、進行すると人工透析が必要になる場合があります。
糖尿病網膜症 視力低下や失明につながることがあります。
神経 糖尿病神経障害 手足のしびれや痛み、感覚の低下などが起こることがあります。

糖尿病の合併症は、「目・腎臓・神経」の三大合併症がよく知られています。しかし、実際には命に関わる原因として最も注意したいのは、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患です。そのため、循環器内科では血糖値だけでなく、血圧やコレステロール、体重、喫煙歴なども含めて総合的に管理します。

血糖値が高い状態は、自覚症状がないまま進行することが少なくありません。だからこそ、健康診断で異常を指摘された段階で生活習慣を見直し、必要に応じて治療を開始することが、将来の重大な病気を予防する第一歩になります。

血糖値を改善するために今日からできること

健康診断で血糖値が高いと指摘されても、糖尿病の進行具合や合併症の有無によって治療方法は異なります。血糖値が少し高い段階であれば、まずは生活習慣の改善から始めることが多く、毎日の積み重ねによって血糖値の改善が期待できます。

今日から実践したいポイントは次のとおりです。

・主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事を心がける
・甘い飲み物や間食、夜食を控える
・野菜や食物繊維を先に食べ、血糖値の急上昇を防ぐ
・ウォーキングなどの有酸素運動を週3~5日程度続ける
・適正体重を維持し、内臓脂肪を減らす
・十分な睡眠をとり、ストレスをため込まない

特に食事では、「糖質を一切食べない」といった極端な制限を行う必要はありません。大切なのは、食べ過ぎを防ぎ、栄養バランスを整えることです。また、野菜やきのこ類、海藻類など食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れることで、食後の血糖値が急激に上がるのを抑える効果が期待できます。

運動も血糖値の改善には欠かせません。筋肉はブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するため、継続的な運動は血糖値を下げるだけでなく、インスリンの働きを改善する効果も期待されています。激しい運動を始める必要はなく、まずは1日20〜30分程度のウォーキングから始めるだけでも十分です。

生活習慣を改善しても血糖値が十分に下がらない場合や、HbA1cが高い場合、すでに糖尿病と診断されている場合には、薬による治療が必要になることがあります。治療の目的は血糖値を下げることだけではなく、心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎臓病などの合併症を予防し、健康な生活を長く続けることです。

「血糖値が少し高いだけだから」と自己判断せず、健康診断をきっかけに生活習慣を見直すことが、将来の健康を守る第一歩になります。気になる結果があった場合は、早めに医療機関へ相談し、自分に合った改善方法を見つけましょう。

どんな人が受診すべき?

血糖値に悩む男性

健康診断で血糖値が高いと指摘されても、「まだ糖尿病ではないから大丈夫」と考えて受診を後回しにしてしまう方は少なくありません。しかし、糖尿病は初期には自覚症状がほとんどない病気です。症状が現れた頃には、すでに合併症が進行していることもあるため、健康診断の結果をきっかけに早めに相談することが大切です。

特に次のような方は、一度内科・循環器内科で相談することをおすすめします。

・健康診断で「要受診」「要精密検査」と判定された
・空腹時血糖値が126mg/dL以上、またはHbA1cが6.5%以上だった
・前年より血糖値やHbA1cが上昇している
・高血圧や脂質異常症、肥満を指摘されている
・ご家族に糖尿病の方がいる
・喉が渇く、水分をよく飲む、尿の回数が増えた、体重が減ってきたなどの症状がある

また、糖尿病は高血圧や脂質異常症と合併することが多く、それぞれが重なることで動脈硬化が進行しやすくなります。心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を予防するためにも、血糖値だけではなく、血圧やコレステロールなどを含めて総合的に管理することが重要です。

循環器内科では、健康診断の結果だけで治療を始めるのではなく、再検査やHbA1c、生活習慣、体格、既往歴などを総合的に評価したうえで、一人ひとりに適した治療方針を提案します。生活習慣の改善で十分な方もいれば、早い段階から薬による治療を始めた方が将来の合併症予防につながる方もいます。

「まだ症状がないから大丈夫」と考えるのではなく、「症状がない今だからこそ改善できる」と考えることが大切です。健康診断で血糖値の異常を指摘された場合は、将来の健康を守るためにも、一度医療機関で相談してみましょう。


まとめ

健康診断で血糖値が高いと指摘されても、すぐに糖尿病と診断されるわけではありません。しかし、そのまま放置すると糖尿病へ進行したり、動脈硬化が進んだりして、心筋梗塞や脳梗塞、慢性腎臓病などの重大な病気につながる可能性があります。

血糖値の改善には、バランスの良い食事や適度な運動、適正体重の維持など、日々の生活習慣を見直すことが欠かせません。また、必要に応じて医療機関で詳しい検査を受けることで、ご自身の状態に合った治療やアドバイスを受けることができます。

健康診断で血糖値が高いと言われたら、次のことを意識しましょう。

・健康診断の結果を放置せず、必要に応じて受診する
・空腹時血糖値とHbA1cの両方を確認する
・食事や運動など生活習慣を見直す
・高血圧や脂質異常症などもあわせて管理する

名古屋市天白区の平針団地診療所では、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病をはじめ、心筋梗塞や脳卒中など循環器疾患の予防にも力を入れています。健康診断で血糖値の異常を指摘された方や、生活習慣病について相談したい方は、お気軽にご相談ください。

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