健康診断で心電図異常と言われたら放置してはいけない?

健康診断と心電図異常

健康診断の結果で「心電図異常」「要精密検査」「要受診」と記載されているのを見て、不安になった経験はありませんか。「自覚症状がないから大丈夫だろう」「毎年同じことを言われているから問題ない」と、そのままにしてしまう方も少なくありません。

しかし、心電図異常は心臓からの大切なサインである可能性があります。実際には異常があっても治療の必要がないケースもありますが、一方で不整脈や狭心症、心筋梗塞、心筋症など、早期に発見・治療することで重症化を防げる病気が隠れていることもあります。

心臓は一日およそ10万回拍動し、全身へ血液を送り続けています。その拍動は電気信号によってコントロールされており、健康診断の心電図検査では、この電気の流れに異常がないかを調べています。そのため、症状がなくても心電図には異常が現れることがあり、「自覚症状がない=心臓に異常がない」とは言い切れません。

一方で、健康診断で心電図異常を指摘された方すべてが重い心臓病というわけではありません。加齢による変化や体質、一時的な脈の乱れなどが原因となることもあり、追加の検査を行った結果、「特に問題ありません」と診断されるケースも少なくありません。

大切なのは、「異常と言われた=重大な病気」と必要以上に心配することでも、「症状がないから大丈夫」と自己判断して放置することでもありません。健康診断の心電図はあくまでも心臓病の可能性を見つけるためのスクリーニング検査です。異常を指摘された場合は、その原因を確認するために循環器内科で詳しく調べることが重要です。

この記事では、健康診断で心電図異常と言われた場合に考えられる原因や受診の目安、循環器内科で行われる検査について、循環器疾患の診療に携わる立場から分かりやすく解説します。

心電図検査とは?健康診断では何を調べているの?

健康診断で行われる心電図検査は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。心臓は電気信号によって規則正しく拍動しており、その電気の流れを波形として記録することで、心臓の異常を調べることができます。

一般的な健康診断では、「安静時12誘導心電図」という検査が行われます。胸や手足に電極を装着し、12方向から心臓の電気信号を数十秒間記録することで、不整脈や心臓への負担、過去の心筋梗塞を疑う変化などがないかを確認します。検査自体は痛みもなく、数分程度で終了します。

心電図検査では、主に次のような異常を見つけることができます。

・脈が乱れる不整脈
・高血圧などによる心肥大
・狭心症や心筋梗塞を疑う波形の変化
・心臓の電気の流れが遅くなる伝導障害
・心筋症など心臓の病気を疑う所見

一方で、健康診断の心電図だけですべての心臓病が分かるわけではありません。検査時間は数十秒程度のため、そのときに症状や不整脈が出ていなければ異常を捉えられないことがあります。また、軽い狭心症などでは、安静時の心電図が正常となるケースも珍しくありません。

そのため、動悸や胸の痛み、息切れ、失神などの症状がある場合は、健康診断の心電図が正常でも安心はできません。必要に応じて24時間ホルター心電図心エコー検査、運動負荷検査などを組み合わせることで、より詳しく心臓の状態を調べることができます。

健康診断の心電図は、あくまでも心臓病を早期に発見するための第一歩です。異常を指摘された場合はもちろん、気になる症状がある場合も、「健康診断で異常がなかったから大丈夫」と自己判断せず、循環器内科で相談することが大切です。

心電図異常で考えられる主な原因

心電図異常の危険性

健康診断で「心電図異常」と記載されていても、その内容は一つではありません。心電図は心臓の電気的な活動を記録する検査であるため、波形の乱れ方によって考えられる病気が異なります。また、異常所見があっても必ずしも治療が必要とは限らず、経過観察で問題ないケースもあります。

一方で、重大な心臓病が隠れている可能性もあるため、健康診断の結果だけで自己判断することはおすすめできません。循環器内科では、心電図の波形だけでなく、自覚症状や血圧、血液検査、家族歴などもあわせて総合的に評価します。

健康診断で指摘されることが多い主な異常には、次のようなものがあります。

■ 不整脈
脈が速くなったり遅くなったり、不規則に打ったりする状態です。疲労やストレスが原因となることもありますが、心房細動など脳梗塞のリスクを高める不整脈が見つかることもあります。

■ 心肥大
高血圧などによって心臓へ負担がかかり続けると、心臓の筋肉が厚くなることがあります。長期間放置すると心不全などにつながる可能性があるため、血圧管理が重要です。

■ ST-T異常
心電図で比較的よく見られる異常の一つです。狭心症や心筋梗塞、心筋症などが原因となる場合もありますが、加齢や体質による変化として現れることもあり、追加検査で問題がないことも少なくありません。

■ 伝導障害
心臓の電気信号が正常に伝わらない状態です。年齢とともにみられることもありますが、種類によってはペースメーカー治療が必要になるケースもあります。

■ 心筋梗塞を疑う所見
過去に起こった心筋梗塞の跡や、心筋への血流不足を疑う波形が見つかることがあります。自覚症状がなくても精密検査が必要になる場合があります。

このように、「心電図異常」という結果だけでは、どのような異常なのか、どの程度注意が必要なのかを判断することはできません。同じ「要受診」という判定でも、経過観察で問題ないケースもあれば、早期に治療を始めた方がよい病気が見つかるケースもあります。

だからこそ、健康診断で心電図異常を指摘された場合は結果を放置せず、循環器内科で詳しく確認することが大切です。必要に応じてホルター心電図や心エコー検査などを組み合わせることで、原因をより正確に調べることができます。

循環器内科では心電図異常をどのように調べる?

健康診断で心電図異常を指摘されても、その結果だけで病気が確定するわけではありません。心電図はあくまでも心臓病の可能性を見つけるための検査であり、異常の原因を正確に判断するには、症状や生活習慣、追加検査の結果を総合的に評価することが大切です。

循環器内科では、健康診断の結果をもとに、次のような項目を確認しながら診断を進めていきます。

① 健康診断の結果を詳しく確認
どのような心電図異常を指摘されたのかを確認します。「ST-T異常」「不整脈」「心肥大」など、異常の種類によって考えられる病気は異なります。
② 症状や生活習慣を確認
動悸、胸の痛み、息切れ、失神の有無に加え、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの持病や、喫煙歴・家族歴についても確認します。
③ 必要に応じて追加検査を実施
症状や心電図所見に応じて、24時間ホルター心電図や心エコー検査、血液検査などを行い、心臓の状態を詳しく調べます。
④ 検査結果をもとに治療方針を決定
経過観察で問題ない場合もあれば、生活習慣の改善や薬による治療が必要になる場合もあります。一人ひとりの状態に合わせて最適な方針を提案します。

健康診断で「要受診」と判定されると、不安を感じる方も少なくありません。しかし、実際には追加検査を行った結果、大きな異常が見つからないケースも多くあります。反対に、自覚症状がほとんどなくても、早期治療が必要な心臓病が見つかることもあるため、結果を放置せず一度循環器内科で相談することが大切です。

心電図異常は「異常がある」という結果だけを見るのではなく、その背景にどのような病気が隠れている可能性があるのかを見極めることが重要です。健康診断をきっかけに詳しい検査を受けることで、心臓病の早期発見・早期治療につながる可能性があります。

追加検査ではどんなことが分かる?循環器内科で行う主な検査

健康診断の心電図だけでは、心臓の状態をすべて把握できるわけではありません。異常の原因を詳しく調べるために、循環器内科では症状や心電図所見に応じて追加検査を行います。これらの検査を組み合わせることで、「本当に治療が必要な病気なのか」「経過観察でよいのか」を総合的に判断します。

代表的な検査には次のようなものがあります。

■ ホルター心電図(24時間心電図)
小型の記録装置を装着し、24時間心電図を記録する検査です。健康診断では数十秒しか記録できませんが、ホルター心電図では日常生活の中で起こる不整脈や動悸との関係を詳しく調べることができます。症状が出たり出なかったりする方には特に有用な検査です。

■ 心エコー検査(心臓超音波検査)
超音波を使って心臓の大きさや動き、弁の異常、心臓の筋肉の厚さなどを確認します。高血圧による心肥大や心不全、弁膜症などの評価にも欠かせない検査で、痛みや放射線被ばくはありません。

■ 血液検査
電解質の異常や甲状腺機能、心臓に負担がかかっていないかを調べます。また、糖尿病や脂質異常症、腎機能なども確認し、心臓病の危険因子がないかを総合的に評価します。

■ 胸部レントゲン検査
心臓の大きさや肺の状態を確認する検査です。心不全では心臓が大きくなっていたり、肺に水がたまっていたりすることがあるため、診断の参考になります。

症状によっては、このほかにも運動負荷心電図や冠動脈CTなど、さらに詳しい検査を行うことがあります。すべての方が同じ検査を受けるわけではなく、健康診断の結果や症状、年齢、持病などを考慮して必要な検査を選択します。

健康診断で心電図異常を指摘されたからといって、すぐに重大な病気が見つかるわけではありません。しかし、追加検査によって異常がないことを確認できれば安心につながりますし、病気が見つかった場合でも早期に治療を開始できるという大きなメリットがあります。

どんな場合に早めの受診が必要?

心電図異常と動悸

健康診断で心電図異常を指摘されても、すべての方が緊急性の高い病気というわけではありません。しかし、中には早めの治療が必要な心臓病が隠れていることもあります。特に自覚症状がある場合や、心臓病の危険因子を複数持っている方は、結果を放置せず早めに循環器内科を受診することが大切です。

次のような場合は、早めの受診をおすすめします。

・健康診断で「要精密検査」「要受診」と判定された
・動悸や脈の乱れを感じることがある
・胸の痛みや圧迫感が繰り返し起こる
・少し動いただけで息切れしやすい
・失神したことがある、または意識が遠のくことがある
・高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある
・ご家族に心筋梗塞や突然死、不整脈などの既往がある

また、健康診断では「軽度の異常」と判定されていても、毎年同じような指摘を受けている場合は、一度詳しい検査を受けることをおすすめします。心臓の病気はゆっくり進行するものも多く、初期には自覚症状がほとんど現れないことも珍しくありません。

一方で、胸の強い痛みが20分以上続く、突然の強い息苦しさ、意識を失う、冷や汗を伴う動悸などの症状がある場合は、心筋梗塞や重症の不整脈など緊急性の高い病気の可能性があります。このような場合は健康診断の結果を待たず、速やかに救急外来の受診や119番通報を検討してください。

心電図異常は「何も症状がないから様子を見る」のではなく、「症状がない今だからこそ原因を確認する」という考え方が大切です。健康診断は病気を見つけるゴールではなく、将来の大きな病気を予防するためのスタートです。異常を指摘された際は、その機会を前向きに捉え、一度循環器内科で相談してみましょう。


まとめ

健康診断で心電図異常を指摘されても、すぐに重大な心臓病があるとは限りません。しかし、不整脈や狭心症、心筋症など、早期発見・早期治療が重要な病気が隠れている可能性もあるため、自己判断で放置することは避けましょう。

健康診断の心電図は、心臓病を早期に見つけるための大切なスクリーニング検査です。異常を指摘された場合は、必要に応じてホルター心電図や心エコー検査などを行い、原因を詳しく調べることで、安心して日常生活を送ることにもつながります。

健康診断で心電図異常を指摘されたら、次のことを意識しましょう。

・健康診断の結果を自己判断で放置しない
・動悸や胸痛、息切れなどの症状があれば早めに受診する
・高血圧や糖尿病など生活習慣病もあわせて管理する
・必要に応じて追加検査を受け、原因を確認する

名古屋市天白区の平針団地診療所では、健康診断で指摘された心電図異常の精査をはじめ、不整脈や狭心症、高血圧など循環器疾患の診療を行っています。健康診断の結果について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

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