コレステロールが高いのはなぜ?原因と生活習慣の関係

コレステロールとは?(基礎の整理)

コレステロールとは

コレステロールは、体に欠かせない脂質のひとつです。細胞膜やホルモン、胆汁酸をつくる材料となり、健康維持に必要不可欠な成分です。

血液中のコレステロールには次の2種類があります。

  • LDLコレステロール(悪玉):体の各組織へコレステロールを運ぶ
  • HDLコレステロール(善玉):余分なコレステロールを回収する

このバランスが崩れ、LDLが多すぎたりHDLが少なすぎたりすると「コレステロールが高い」と判断され、動脈硬化など生活習慣病のリスクが高まります。

日本動脈硬化学会の基準値の目安:

  • LDLコレステロール:140mg/dL以上で高値
  • HDLコレステロール:40mg/dL未満で低値
  • 中性脂肪(トリグリセリド):150mg/dL以上で高値

 

コレステロールが高くなる主な原因

コレステロールと原因

食生活の影響

肉の脂身や揚げ物、バターやチーズなど動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増やしやすいとされています。清涼飲料や甘い菓子の糖質、アルコールの過剰摂取、加工食品に含まれるトランス脂肪酸も脂質異常の原因となります。

▶ 改善ポイント:和食や魚中心の食事、野菜・海藻・きのこ類を増やし、揚げ物・脂身・加工食品を控えめに。

運動不足

体を動かさない生活が続くと脂質代謝が低下し、血液中に余分な脂質が蓄積します。有酸素運動を継続するとHDLコレステロールが増えやすくなります。厚労省は1日30分程度の有酸素運動を週3〜5回推奨。

肥満(特に内臓脂肪)

お腹まわりの脂肪が多い内臓脂肪型肥満は、脂質異常だけでなく糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクを高めます。BMI25以上やウエスト周囲径(男性85cm以上、女性90cm以上)は要注意。

遺伝的要因

生活習慣に問題がなくても、遺伝的にコレステロールが高い方がいます。代表例は家族性高コレステロール血症で、若年期からLDL値が非常に高く、心筋梗塞などを早期に発症しやすいのが特徴です。

その他(加齢・ストレス・喫煙など)

加齢で代謝が低下し数値が上がりやすくなります。慢性的なストレスはホルモンバランスを乱し、脂質代謝に悪影響。喫煙はHDLを減らし、動脈硬化を進めます。

放置するとどうなる?

コレステロールが高い状態を放置すると、血管の壁にコレステロールが沈着し動脈硬化が進行。血管が硬く狭くなり、血流が悪化します。結果として以下の重大な病気につながります。

  • 心筋梗塞・狭心症などの心疾患
  • 脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症などの末梢血管疾患

自覚症状が乏しいまま進行するため、健診で「少し高め」と言われた段階から対策が必要です。

予防・改善のための生活習慣

コレステロールと予防

バランスの良い食事

  • 野菜は1日350g以上を目標に
  • 青魚(EPA・DHA)を積極的に
  • 大豆製品・オリーブオイルなど不飽和脂肪酸を活用
  • 揚げ物や脂質の多い肉、加工食品は控えめに

適度な運動

  • ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を1日30分
  • 軽い筋トレを組み合わせて基礎代謝アップ
  • 座りすぎを避け、こまめに体を動かす

体重管理

BMIを25未満に保ち、特に内臓脂肪を減らすことを意識。体重だけでなくウエスト周囲径のチェックも有効です。

禁煙・節酒

喫煙は善玉コレステロールを減らし、動脈硬化を悪化させます。禁煙が理想。アルコールはビール中瓶1本・日本酒1合・ワイン約2杯程度までが目安。

必要に応じた治療(薬物療法)

コレステロールと治療

生活習慣の改善だけで十分に下がらない場合、医師の判断で薬物療法を行います。自己判断での中止は危険です。

  • スタチン系薬剤:コレステロール合成を抑える
  • エゼチミブ:腸でのコレステロール吸収を抑える
  • PCSK9阻害薬:難治例に用いる強力な治療薬

治療は個別性が高いため、定期受診と家庭での記録を続けながら、医師と相談して進めましょう。

まとめ

・コレステロールが高い原因は食生活・運動不足・肥満・遺伝・加齢・喫煙・ストレスなど多様
・放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などに直結
・改善には食事・運動・体重管理・禁煙節酒が基本。座りすぎ対策も有効
・十分に改善しない場合は薬物療法を併用(自己判断で中止しない)
・健診で高値を指摘されたら、生活習慣病の診療を行う内科に相談を

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